さて、ジョアニ-の記事訳です。
元記事はこちら。
もし、フィギュアスケートを人生に例えるなら、カナダ女子フィギュアスケートの現チャンピオン、
ジョアニー・ロシェットはおそらく中年期のあたまに差しかかったところだろう。
彼女は何をすべきか、何をすべきでないかが解るだけの充分な経験を経てきており、
すべきことを成し遂げる充分な力も持っている。
しかし、人生とは違って、早い時期の引退は彼女のプロフェッショナルとしての
ゴールのうちには入っていない。
ゴールはバンクーバーで開催される2010年の冬季オリンピックで表彰台に上る事。
そしてそれまでに彼女が歩んでいく一歩一歩が、表彰台に上るための一歩一歩となるのだ。
2007-2008の競技シーズンは始まったところで、競技は11月1日から4日までケベックシティで
行われるスケートカナダから始まる。
ロシェットは彼女のTo-Doリストに載っている事柄をひとつひとつ片付けている。
彼女は東京の世界選手権で10位と思いのほか残念な結果に終わった2006-2007シーズンの
ページをめくり、そこから学んだ。
ジャッジは明らかにジミ・ヘンドリックスの”Little Wing”で滑り、
初めていつもの振付師デヴィッドウィルソンではなく、サンドラ・ベジックが振付をした
昨年のショートプログラムを評価しなかった。
ジャッジは世界選手権のショートプログラムで彼女を16位に位置付けた。
明らかにそれはスケーターとしてのロシェットへの非難ではなく、
プログラム自体への評価の無さだった。
メッセージは明らかだったのだ。
「結果にはとても失望しました。フットワークでミスをしましたが、それは1点の差でしか
なかったんです。私は15位になっていたでしょう。
彼らは私が滑ったものが好きではなかったんです。新しいプログラムはもっとクラシカルなもの、
チャイコフスキーです。」とロシェットは語った。
新しいショートプログラムのリズムは、彼女が数年前に滑った「火の鳥」を思い起こさせる。
それはアップテンポでドラマティック。そして非常に評価された。
ロングプログラムにはフェリックス・グレイのミュージカル「ドンファン」を継続することにした。
「これはケベックで作られた作品ですし、まだこれ以上のポテンシャルを秘めていると思うのです。
一年以上プログラムを持ち越すのは今回が初めてです。」とîle Dupas生まれの
スケーターは語った。
次にチェックすべきリストはトリプルジャンプのコンビネーションだ。
非常に習得しづらいにもかかわらず、必須なものである。
「3−3無しで上位5人に入ることはできません。ロング・プログラムでは他の要素で
補うことができれば、3−3が無くても上位に入れるかもしれません。
でも、ショートプログラムではそうではありません。
2010年に向けて、私には3−3が必要です。必要なんです。」
ロシェットのコンビネーションは3F−3Tである。
「昨季は、少しチート気味でした。ある週はうまくいって、次の週には良くないといった
感じでした。」ロシェットは、彼女のショートプログラムを試合の場に出すために、
ケベック・サマー・チャンピオンシップにエントリーした。
彼女はコーチのマノン・ペロンとともに賭けに出て、やり遂げた。3F−3Tを降りたのだ。
「少なくとも、完成への糸口にはなりました。」
ひとつ、ロシェットが脇に置いている技がある。3Aだ。
昨年、日本のスケーター、浅田真央が跳び、2年前には世界選手権の覇者キミー・マイズナーが
跳んでいる。
「バリーで練習しているときにトライしてみましたが、怪我をしてばかりでした。」
と彼女は言う。
ロシェットは、彼女はそんなに3Aを必要とはしていないと言う。
昨今、新採点方式のフィギュアスケートで成功するための鍵は、各ポイントを得る機会を
いかに最大限に生かすかということに気づくことだ。
それはスピンやフットワーク、動きを含み、点数の高いジャンプコンビネーションを、
より点の取れる後半に持ってくることなのだ。
それはでたらめな計画だ。「時々、ジャッジが何を要求しているのかわからなくなることがあります。
指示要綱はありますけれども、みんな違う国から来ていますし、
みんなそれを違った風に解釈しています。」
それで、ロシェットは表現力と芸術性に取り組んでいる。
今のところロングプログラム中に4回か5回、ジャッジとアイコンタクトを取るように
心がけるといったようなことだ。
そして彼女はスピンにも取り組んでいる。
「時に、スピンはジャンプと同じくらいの価値を持つことがあるんです。」
そして、彼女が成熟するにつれて(彼女は1月に22歳になる)、彼女は氷の上の人生を
もっと力を抜いて考えることが出来るようになりたいと願っている。
「私はかつてとても完璧主義者でした。とくに学校に関しては。
最終的に、そんなにハードにやる必要はないと思うようになったんです。
それでも同じ結果だったんです。」
先週バンクーバーで行われた、トレーニングキャンプでは、物事はそうトントン拍子には
いかなかった。そこではカナダのトップスケーターたちが集まり、彼らの新プログラムを
ジャッジに評価し批評してもらうために披露した。
彼らはまた、オリンピックでフィギュアスケート競技が行われるパシフィック・コロシアムに
慣れることができた。こういったキャンプは何度か行われる予定で、
今回はその最初のキャンプだった。
「かつては、物事はうまくいきませんでした。わたしは今までそういったことに対して
自分を責めていたんです。でも今回は、わたしはまったく気にしませんでした。」
成長の一部が彼女のプログラムにより多くのインプットを加えた。
それはある種、必要性から生まれたものだった。ここ数年というもの、以前はほとんどが
カナダのスケーターたちの振付をしていた、振付師のウィルソンの需要が
非常に高まっているのだ。
彼はとりわけ、アメリカのエミリー・ヒューズやサーシャ・コーエンの振付を行い、
現在では2006年のジュニア・チャンピオンであり、昨年の世界選手権で銅メダルを獲った
韓国の天才、キム・ヨナともコラボレーションしている。
「みんなが少しデヴィッドを独占してしまっていると思うんです。」とロシェットは言う。
ロシェットがCEGEP(Collège d'enseignement général et professionnel/College of General and Professional Education)を修めるためには、
現時点であと4つのコースが不足している。
彼女は化学と電気学を取っており、やがてモントリオール大で薬学を専攻することや、
心理療法士になるためによりスケートに関する勉強をすることも視野に入れている。
しかし、それにはフルタイムで取り組む必要がある。
今は、ロシェットはバンクーバーの表彰台に全力を傾けているのだ。
今季は肩の力を抜いて、自分に必要なこと、そうでないことを見極めて
着実にポイントを獲得していくことが目標なんですね。
状況を冷静に判断して、より良い方向へ進んでいこうとするジョアニーを
今季も応援したいと思います。
インタビューの中で、デヴィッドとの振付時間があまりとれなくて
ちらっとと本音が出てるところも可愛いな。
確かにウィルソン・プロのスケーターは今すごく多いですよね。
それにしてもジョアニーも理系なのねー。
みんな賢いんだなあ。
それもきっと、目標に向かって努力できるという資質あってのことなんでしょうね。