記者会見で前のエントリーでご紹介した文章を読み上げたあと、
ジェフは記者からの質問に答えました。
こちらもInternational Figure Skatingのサイトに書き起こしたものがありますので
訳を載せておきたいと思います。
Jeffrey Buttle Speaks to the Canadian Press
Q:引退の決意について、そして引退の理由について少し話していただけますか?
A:スウェーデンでの重大な勝利の後、そして高揚した気分から戻ってきた後、僕は自分が
成し遂げてきたすべてを見つめなおしはじめて、この結論にたどりつきました。
明らかに、僕は自分がやったことのすべてに対して満足し、誇りに思っていることを確認せざるを
得ませんでした。その点においては僕は確信をしています。
当然、これは1週間で決めたことではありません。春と夏の間にトレーニングをして、
そういった考えを忘れようとしましたが、この思いはずっと続いていて
夏の終わりごろに自分の気持ちに気づいたんです。
僕はトレーニングにじっくり取り組んでいましたし、トレーニングの出来や新しいプログラムにも
満足していました − すべてはうまくいっていたんです。
でもこういった(引退という)気持ちはいつもあって、自分に正直になろうと思ったんです。
僕はまだバンクーバーでのオリンピックを祝うことはできる。
でもそれは違う役割で、ということなんです。それが、スケートに関わっていたいという理由です。
Q:トップに立った状態で退くということにはどんな意味がありますか?
A:それは光栄なことです。とてつもないことです。僕が成し遂げたことは − もちろん
この決断をしたきっかけにはなりましたが
本当にうまく言えないんです。最初それが起こったときには(優勝したときには)自分自身でも
信じられませんでした。
先ほど言ったように、子供のときのことを振り返って、世界一になることは僕の夢でした。
そしてそれが実際起こっても、まだ少し驚きではあります。
僕は「その当時と今との間のどこかで、どうやってこんなことが現実になったんだ?」と
自分に問いかけます。
ですから、世界一になれたことは僕にとって非常に光栄なことですし、自分がカナダ代表として
成功したことは誇りに思っています。
Q:2010年のオリンピックはあなたを違った方向に引っ張っていく大きな事柄だと
おっしゃっていましたが、それはどれくらいのものだったのでしょうか?
A:それが今回の決断を難しくしていました。世界選手権の後、僕は自分が成し遂げたことを
本当にうれしく思っていて、引退の準備が出来たと思ったのですが
僕を引き止めたたったひとつのものがバンクーバーでのオリンピックでした。
トレーニングを続けることでクッションをおこうとしたのですが、なんだかしっくりこない
という結論に至ったのです。
もっともらしい理由をつけて続けることは出来ませんでした。
僕はまだオリンピックに関わっていますし、チームのサポートをします。
でも、オリンピックが開かれる都市が僕にとってのモチベーションとなるべきではないのです。
そう感じて、それが僕の区切りとなりました。
Q:あなたのwebサイトで、あなたが地元のオリンピックで試合をすることを楽しみにしている
と書いているのを読みましたが、何がそれを変えたのでしょうか?
A:正直なところ、何も変わっていません。さきほど言ったとおり、この決断において
一番堪えたことは、オリンピックに出場する機会を失うことでした。
でもそれより大きかったのは、僕がオリンピックがバンクーバーで行われるということに
こだわっていることでした。
自国の観衆の前で滑りたいというだけでオリンピックに出る事で、そこに出場して大いに学ぶ
ことの出来るカナダの次世代の選手から機会を奪ってしまうことは大いに恥ずべきことです。
僕は国際舞台で十分にカナダを代表して戦ってきたと思いますし、特に世界選手権で優勝
したことはこの上ない証になったと思うのです。
Q:将来はどのようにするおつもりですか?
A:今は一歩下がって次にどうしようか考えたいと思っています。もちろん演技をするのは
好きですので、ショーでパフォーマンスをするという形で続けたいと思っています。
それに大学での勉強も続けたいと思います。(大学での勉強は)僕が常々、戻って修了したいと
言っていたことで、未だに情熱を持ってやりたいと思っていることです。
ですので、成し遂げたいことや追い求めたいことに欠くことはまったくありません。
理路整然と、スマートに記者たちの問いかけにも答えています。
投げかけられる質問からは「バンクーバーまでやるって言ったじゃん」というような
ニュアンスも無きにしもあらずですが
(わたしもすっかり2010年までは現役を続けると思っていましたよ・・・)
ジェフの足をとどめさせていたものがただひとつで、それを自分の気持ちと状況に
照らし合わせた結果、そこにこだわるべきではないという結論に至ったことは
十分理解できます。
26歳。選手としては立派なベテランです。
納得のいく結果も出した。
文句の付けようがない幕引きだと思います。
さて、お隣に控えていらっしゃったバーケルコーチのインタビューも同じ記事に
掲載されていました。
もちろん、これはジェフにとって難しい決断でした。私たちはずいぶん長い関係ですが
− 18年になります − 私はまだ白髪頭ではありません。
ジェフのスケートについて思い返すとき、3つの大きなことがあります。
まず最初に、彼が純粋にスケートが好きだということ。それが彼が浮き沈みを乗り越える
ことができた要因となっています。
そして彼の完璧さに対するこだわり。それは時に敵となりえましたが、結局は彼が現在の
彼のようなスケーターとなったのはこのこだわりのおかげです。
それから、彼は毎日が試合であるかのように滑っていました。多くの人が、彼がオールラウンド
プレイヤーになるためにどれだけ一生懸命練習してきたか知らないでしょう。
個人的には、コーチとしては常に世界チャンピオンを育てたいと思うでしょう。
しかし私にとってはそれはジェフが彼が出来る限りのスケートをして(ヨーテボリで)
クリーンなプログラムを二つ滑ったことに花を添えるものでしかないのです。
ご家族とともに、一番選手としてのジェフを見てきたコーチの感慨もひとしおかと思います。
ジェフはバンクーバーオリンピックまでカナダチームのサポートをするということなので
バーケルコーチとの仕事もまだ続きそうですね。
ジェフのQ&Aの記事原文は以下に引用しておきます。